まぬけさいぼう

それが 鈍足エスパーの おそろしさ!

【雑感】カントー交響楽団第3回公演がよかったよって話

2023年7月23日、かつしかシンフォニーヒルモーツァルトホールにて催されたカントー交響楽団第3回公演に行ってきました。田舎から東京に出てきた甲斐がありました。とてもよかったので忘れないうちにざっと感想出力します。

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↑ロゴすごくない?カ(マグマ団)ン(アクア団)ト(ギンガ団)ー(プラズマ団)交(フレア団)響(エーテル財団、エール団)楽(スター団)団(ロケット団)かな?

よかったところその1、世界観設計がよかった

チケット確認を済ませてホールホワイエに入るとすぐに見えてくるのがこれ↓

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お出迎えがすごい。

ホール内、舞台上にもいっぱいいました。

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ヤドンのやま

パンフレットもすごい。

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14ページデザインも凝ってるし楽曲紹介の情報量もすごい。この時点でめっちゃ濃いオタク。このパンフ用意するのお金も労力もかなりかかってるでしょ。アマチュアオケがこれ普通にやってるのすごい。

会場アナウンスの携帯の電源オフを促す定番の文言も、「…携帯電話、スマートフォンスマホロトムアルセウスフォンはマナーモードに…」ってさりげなく言ってくる。楽しい。2部開演前のアナウンスでコガネのラジオ塔占拠をまんま再現するのも芸が細かい。(あとアナウンスの方の声がめっちゃよかった)

そして演奏者のコスプレ。ネモボタンペパーとかクラベルとかネズマリィとかリーリエグラジオとかシロナとかとにかくいっぱいいた。ホルン吹くナゲキとかコントラバス弾くマッシブーンもいたし悪の組織特集なので悪ボスしたっぱもたくさん(ヤドンの横にヤドンのしっぽが並んでたのすき)。最早なんでもあり、なんだけど曲目とコスプレするキャラをちゃんと合わせたりしてたのですごく真面目。着るだけじゃなく原作再現モーションもしてくれたのは嬉しい(し、それに対していちいち客席から拍手が湧くのもほっこりする)。コスプレしてない人もR団シャツ着てたりしたので統一感すごい。演奏者の温度感にムラがない。

この時点で「ワシらがやりたいことを好きにやっとるんじゃ!」が全面に出ててもう好印象。オタクのオタクによるオタクのための演奏会。コスプレするにしても、そこらへんのアマチュアオケの定演とかだと観客のウケをそれなりに意識した結果ノリが中途半端になって失笑、ってなるケースばっかな印象なのでこの突き抜け度合いは気持ちいい。観客も入り込める内輪ノリは楽しい。

よかったところその2、プログラム・選曲がよかった

悪の組織特集!こういうコンセプトでやってくれるのオタクとしてはとても嬉しい。非公式だからこそできることですね(公式だとどうしてもライト層を意識したプログラムになりがちなため)。

第1部剣盾/アルセウス/SVからの抜粋。序盤で直近3作から選曲してライトなファンにも「これならわかるよね?」って寄り添ってくれるの優しい。あと剣盾以降は従来の悪の団らしい悪の団が出てこなくなったので、そういう意味でもここら辺を一纏めにして演奏しちゃうってのはコアなファンにもすごく理解できる発想。

個人的に一番好きだったのは「戦闘!ジムリーダーfeat.エール団」。ガラルジムリ戦をオーケストラで聴くって経験新鮮すぎだし、ジム戦劣勢からエール団乱入、トーナメントマリィ戦に繋がる流れはエール団になってマリィのジムチャレンジを追っかけてる気分になれて楽しい。合いの手掛け声、観客も一緒にやってよさそうな雰囲気だったけど日和ってできなかったのちょっと後悔。第1部アンコールの「戦闘!スター団ボス」もよかった。エレキヴァイオリンソロをスター団のBGM担当ピーニャのコスで演奏するのあまりにちゃんとしてる(BGMってかもう君が主役だよ)。あと司会の裏で流れてたジムBGMのアンサンブルが初代→3世代→4世代ってちょっとずつアレンジ変えてきてたの細かい。ニヤニヤしちゃう。

1部から2部の幕間で演奏された弦楽四重奏の選曲よかったですね。「ローズタワー」マクロコスモス、悪の組織で括っていいのか?って気持ちになるけど公式的にはガラルの悪の組織はマクロコスモスとのことなので(ポケマス悪の組織ガラル編)、この微妙なラインの組織を幕間でやるのちょうどよい。「戦闘!伝承者ヒガナ」伝説ポケモンの力を利用して自分の願いを叶えようとするって点をみればヒガナも悪の個人なのでやるよね。そもそもアクア/マグマ団内で暗躍してたし。弦との相性がよすぎる曲。「ゲームコーナー」ロケット団の資金源。この曲アンサンブル映えしすぎだし幕間とかアンコールとかでサラッとやるのにピッタリですね。

第2部から本格的に悪の組織特集。第2部カントー〜イッシュ、第3部でカロス〜アローラ、RR団で〆。イッシュの密度段違いじゃなかった?

第2部ラスト「数式に囚われた王の物語」、計12曲のメドレーで大ボリューム。中でもサヨナラとNのテーマを混ぜ合わせるアレンジがよかった。BW2のNのテーマの清らかさを知っているからこそ、Nの城での敗北から「サヨナラ」という台詞に至るまでのNの心に生まれたもの、彼の世界が静かに広がったその瞬間をこういう形で切り取られるとたまらない。美しい結末。いい話だったなあ〜と浸ってたら「ENDING〜それぞれの未来へ」まで演奏し出してひっくり返った。「サヨナラ演奏したらBWのエンディングも当然やるでしょ!」ってその思考回路はオタクすぎる。ポケマスとやってること同じですよそれ(エピソードイベント「世界を彩る数式」)。

2部から3部の幕間のアンサンブルもよかったですね。何演奏するのかなってワクワクしてたら「夢の跡地」でした。まだイッシュやり足りなかったの!?演奏メンバーの中にゲーチスコスの人がいたの笑った。確かに夢の跡地イベントにはゲーチス()出てくるけど…。

第3部のアレンジ、個人的には全部すき。パキラから見るフレア団リーリエの日記で辿るアローラの冒険、視点とそれをアレンジに落とし込む技量が素晴らしい。リーリエをフルート四重奏で表現するの、リーリエが「ひとりでに吹けそう」と思えたのがあの横笛でしたからね…。

そしてラストのRR団メドレー「ウルトラ・ボスラッシュ!-エピソードRR-」、ちゃんとUSUMのオープニングから始めるの誠実。ここまで悪ボス戦のアレンジがほとんどなかったですがここで一気に放出。メインディッシュは最後まで残しておくタイプ。エピソードRRなのでちゃんとフラダリ→ゲーチスの順で演奏してくれる。そしてサカキに辿り着いた後に流れる怒涛のメインテーマ、各世代の印象的なフレーズがドバドバ流れ込んできて悪ボスを一掃していくのが爽快。主人公の勝利で悪の組織特集が終わる完璧なエンディング

指揮者に花束、でなくミュウツーぬいが渡された後、アンコールで「風といっしょに」。パンフレットの最後のページに歌詞のってるな〜って思ってたけどここでくるんだ。コロナ禍が存在しなかった世界線ならみんなで合唱できたのかな。

よかったところその3、演奏がよかった

カントー交響楽団の演奏を生で聴くのは初めてでした。YouTubeに上がってた演奏動画を見た程度だったのですが、今回の演奏は動画の数倍よかったです。全体的に管打の圧が強いマッシブなサウンドでしたが、悪の組織特集ですしタフでギラギラした音はむしろおいしかったです。一番好きだったのはコントラファゴット。めちゃめちゃ気持ちいい音でした。木管低音とかコントラバスとかがオケ全体のサウンドの方向性をがっちり固めてくれてるのだいすき。コントラファゴット、アマチュアオケだと調達に難渋してる印象があるのですが(そうでもない?)、今回の公演ではアルトフルートやアルト/テナーサックス、コントラバストロンボーンとかよっぽどのことがない限りオケに出てこない楽器も(局所的ですが)使われてたりしてたのでなんかすごかった。贅沢。

3部あたりはさすがに疲れが見えてきましたが、15時開演18時終演で休憩除いて2時間はずっと演奏してたと思うので疲れるのは当然。それを気合いで乗り切ってるのがアツかった。命を削りながら出す音はたまらないですね。なんなら疲れが限界突破してたであろうプログラムラストのRR団が一番輝いてたまである。プロの演奏聴きに行ってもこれを感じられることは滅多にないので、今回はとてもよいものを摂取できました。

おわりに

ここまで雑に感想書いてみましたが、まさしく「おんがくのちからってすげー!」だったしアマチュアオケの底力を感じました。好きなことなら無限の力が湧いてくる。それを共有できる空間があるってすばらしい。こういう営みに触れると自分も楽器吹かなきゃなって気持ちにさせられます。来年もやるみたいなので是非行きたいですね。ありがとうございました。

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